「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのビタミンB₆の欠乏回避の「推定平均必要量、推奨量の策定方法」の続きを紹介します。
〔推定平均必要量、推奨量の策定方法〕
*妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
ビタミンB₆の付加量は、胎盤や胎児に必要な体たんぱく質の蓄積を考慮して設定しました。
すなわち、成人(非妊娠時)でのピリキドシン(PN)の推定平均必要量算定の参照値(1gたんぱく質当たり0.014mg)と妊娠期のたんぱく質の蓄積量を算定して、これに相対生体利用効率を考慮した値としました。
妊娠期においては、多くの栄養素の栄養効率が高くなりますが、ビタミンB₆に関するデータは見当たらないので、妊娠期においても食事性ビタミンB₆のPNに対する相対生体利用効率を73%としました。
・妊娠初期
(0.014mg/gたんぱく質×0g/日=0mg/日)÷0.73=0mg/日
・妊娠中期
(0.014mg/gたんぱく質×1.94g/日=0.026mg/日)÷0.73=0.037mg/日
・妊娠後期
(0.014mg/gたんぱく質×8.16g/日=0.114mg/日)÷0.73=0.156mg/日
したがって、妊娠期のビタミンB₆の推定平均必要量の付加量は、初期は0mg、中期は0.037mg、後期は0.156mgと算定されます。
推奨量の付加量は、これらの値に推定量算定係数1.2を乗じて、初期は0mg、中期は0.044mg、後期は0.187mgと算定されます。
しかし、これらの算定値はあくまでも妊婦のたんぱく質要求量の増大に基づいた数値であり、妊娠期は個々人によるたんぱく質要求量が著しく異なります。
妊娠期は特に代謝が亢進される時期であることから、妊娠後期で算定された値を、妊娠期を通じた必要量としました。
以上によって、妊婦のビタミンB₆の推定平均必要量の付加量は、妊娠後期のたんぱく質要求量の増大から算定された0.156mg/日を丸め処理した0.2mg/日としました。
推奨量の付加量は、推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じると0.187mg/日となり、丸め処理を行って0.2mg/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






