「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのビタミンB₁₂の「活用に当たっての留意事項」を紹介します。
〔活用に当たっての留意事項〕
食事中のビタミンB₁₂含有量は食品ごとに大きく異なるために、摂取量は日間変動が高くなっています。
食事1回当たりの内因子を介した吸収機構の飽和量は、およそ2.0μgと推定されており、1日3回の食事から6.0μg程度のビタミンB₁₂しか吸収することができません。
一度に多量のビタミンB₁₂を含む食品を摂取するよりも、食事ごとに2.0μg程度のビタミンB₁₂を含む食品を摂取する方が望ましいとされます。
高齢者では、加齢による体内ビタミンB₁₂貯蔵量の減少に加えて、食品たんぱく質に結合したビタミンB₁₂の吸収不良によるビタミンB₁₂の栄養状態の低下と神経障害の関連が報告されています。
一方で、胃酸分泌量は低下していても内因子は十分量分泌されており、遊離型のビタミンB₁₂の吸収率は低下しないことが報告されています。
また、ビタミンB₁₂やビタミンB₁₂を含むサプリメントを摂取させるとビタミンB₁₂の栄養状態が改善されることが報告されています。
ただし、高齢者へのビタミンB₁₂サプリメントがビタミンB₁₂の栄養状態を変えないとする報告もあります。
ビタミンB₁₂のサプリメント等による摂取が健康の保持に有効か否かの結論に至る研究は十分ではありません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






