「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンの葉酸の欠乏回避の耐容上限量の策定方法の「基本的な考え」と「考慮すべき健康被害」を紹介します。
〔基本的な考え〕
通常の食事由来の葉酸(folate)の過剰摂取による健康被害の報告は存在しません。
したがって、葉酸(folate)に対しては耐容上限量を設定しないこととしました。
一方、葉酸(folic acid)については、次に記す理由によって、過剰に摂取すれば健康被害を引き起こし得ると考えられます。
そこで、葉酸(folic acid)のサプリメントや葉酸(folic acid)が強化された食品から摂取された葉酸(folic acid)に限り、葉酸(folic acid)の重量として耐容上限量を設定しました。
〔考慮すべき健康被害〕
葉酸(folate)とビタミンB₁₂は、ともにDNA合成に関与します。
葉酸欠乏症も巨赤芽球性貧血であり、ビタミンB₁₂欠乏症によるものと鑑別できません。
そのために、悪性貧血(胃粘膜の萎縮による内因子の低下によってビタミンB₁₂を吸収できずに欠乏することで生じる貧血であり、巨赤芽球性貧血の一種。ビタミンB₁₂の欠乏症である)の患者に葉酸(folic acid)が多量に投与され、神経症状が発現したり悪化したりした症例報告が多数存在します。
これはアメリカ・カナダの食事摂取基準にまとめられています。したがって、耐容上限量が存在するものと考えられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






