食事摂取基準255 ビタミンC5

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から水溶性ビタミンのビタミンCの欠乏回避の「必要量を決めるために考慮すべき事項」を紹介します。

〔必要量を決めるために考慮すべき事項〕
血漿アスコルビン酸濃度が11μmol/L以下になると壊血病の症状が現れ、23μmol/L以下で疲労や倦怠感などの軽度の症状が現れます。
このことから、23〜28μmol/L以下もしくは30μmol/L以下が不足とされています。

50μmol/L程度に達すると尿中アスコルビン酸排泄量が認められ、体内飽和に近い状態になります。

そして、70μmol/L程度で、ほぼ最大値に達します。

ビタミンCの摂取量が増えていくと、血漿アスコルビン酸濃度はシグモイド状に増加して、血漿濃度30〜60μmol/Lの範囲で直線的に増加します。

以上より、血漿アスコルビン酸濃度を30μmol/L以上に維持できるビタミンCの摂取により、不足を回避することができると考えられます。

多くの観察研究、介入研究によって血漿アスコルビン酸濃度とビタミンCの摂取量との関係が調べていますが、30μmol/L前後の血漿アスコルビン酸濃度を期待できる摂取量は研究によって大きく異なります。

また、同一研究であっても、血漿アスコルビン酸濃度の平均値が10μmol/L程度および50μmol/L程度である人の集団(すなわちビタミンCが明らかに不足あるいは充足している集団)ではビタミンC摂取量が同等である際の血漿アスコルビン酸濃度の個人間のばらつきが小さいのに対して、血漿アスコルビン酸濃度の平均値が30μmol/L前後である人の集団では、ビタミンC摂取量が同等であっても血漿アスコルビン酸濃度に大きなばらつきが認められます。

このため、血漿アスコルビン酸濃度を30μmol/Lに維持できる摂取量を精度高く設定することは容易ではありません。

一方、血漿アスコルビン酸濃度が体内飽和に近い状態であれば、体内のビタミンCの栄養状態は確実に適正であると考えられます。

そこで、およそ半数の対象者が、この濃度に達するビタミンCの摂取量の平均値をもって推定平均必要量とすることにしました。

このように、良好なビタミンCの栄養状態を維持できる摂取量は、ビタミンCの欠乏症である壊血病の回避に求められる最小摂取量よりもかなり大きな値です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕