食事摂取基準267 ナトリウム6

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から多量ミネラルのナトリウムの欠乏回避の「推定平均必要量の策定方法」の続きを紹介します。
〔推定平均必要量の策定方法〕

*成人・高齢者(推定平均必要量)
実際には通常の食生活においてナトリウム摂取量を0(ゼロ)にすることは不可能です。

古典的研究をレビューした結果として、座位で発汗を伴わない仕事に従事している成人のナトリウム不可避損失量は、便:0.023mg(0.001mmol)/kg体重/日、尿:0.23mg(0.01mmol)/kg体重/日、皮膚:0.92mg(0.04mmol)/kg体重/日、合計:1.173mg(0.051mmol)/kg体重/日と試算されています。

これを18〜29歳の男性に適用すると、73.9(1.173×63.0)mg/日あるいは、3.2(0.051×63.0)mmol/日となります。

1989年のアメリカの栄養所要量では、成人の不可避損失量として115mg/日(5mmol/日)、1991年のイギリスの食事摂取基準では69〜490mg/日(3〜20mmol/日)を採用していました。

このように、成人のナトリウム不可避損失量は500mg/日以下で、個人間変動(変動係数10%)を考慮に入れても約600mg/日(食塩相当量1.5g/日)と考えられます。

この考え方を根拠に600mg/日(食塩相当量1.5g/日)を成人における男女共通の推定平均必要量としました。

しかし、実際には、通常の食事では日本人の食塩摂取量が1.5g/日を下回ることはありません。

ただし、高温環境での労働や運動時の高度発汗では、相当量のナトリウムが喪失されることがあります。多量発汗の対処法としての水分補給では、少量の食塩添加が必要とされます。

必要以上の摂取は生活習慣病の発症予防、重症化予防に好ましくないため、注意が必要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕