食事摂取基準289 カルシウム6

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から多量ミネラルのカルシウムの欠乏回避の「推定平均必要量、推奨量の策定方法」を紹介します。

〔推定平均必要量、推奨量〕
*成人・高齢者・小児(推定平均必要量、推奨量)
体内カルシウム蓄積量、尿中排泄量、経皮的損失量と見かけのカルシウム吸収率を用いて推定平均必要量を算定しました。

推奨量は、個人間の変動係数を10%と見積もり、推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じた値としました。

*妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
新生児の身体には約28〜30gのカルシウムは含まれており、この大半は妊娠後期に母体から供給され、蓄積されます。

一方、妊娠中は母体の代謝動態が変化して、腸管からのカルシウム吸収率は著しく増加します。日本人を対象とした出納試験でも、カルシウム吸収率(平均±標準偏差)は、非妊娠時23±8%に対して、妊娠後期には見かけ上、42±19%に上昇していました。

その結果、カルシウムは胎児側へ蓄積され、同時に通常より母体に取り込まれたカルシウムは、母親の尿中排泄量を著しく増加させることになります。そのため、付加量の設定は不要と判断しました。

なお、アメリカ・カナダの食事摂取基準、EFSA、北欧諸国の食事摂取基準も、この考え方を採用しています。

*授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
授乳中は、腸管でのカルシウム吸収率が非妊娠時に比べて軽度に増加して、母親の尿中カルシウム排泄量は減少することによって、通常よりも多く取り込まれたカルシウムが母乳に供給されます。

そのため、付加量は必要がないと判断されています。アメリカ・カナダの食事摂取基準、EFSA、北欧諸国の食事摂取基準も、この考え方を採用しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕