食事摂取基準305 リン5

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から多量ミネラルのリンの欠乏回避の「目安量の策定方法」の続きを紹介します。

〔目安量の策定方法〕
*妊婦(目安量)
出生時の新生児の総リン量は17.1gとの報告があります。

これを非妊娠時の摂取に加えて摂取すべき量と考えると1日当たり約68mgとなります。

妊娠時のリンの吸収率は70%、非妊娠時は60〜65%との報告があります。

そこで、18〜29歳の目安量(800mg/日)に吸収率(70%、60%)を乗じると、リン吸収量はそれぞれ560mg/日、480mg/日となります。

この差(80mg/日)は上記の68mg/日を上回っているため、非妊娠時の摂取量に加えてリンを多く摂取する必要はないと判断できます。

平成30年・令和元年国民健康・栄養調査では、非妊娠時、非授乳時の女性のリン摂取量の年齢区分調整済み中央値は854mg/日です。

一方、上述のように、妊娠可能な年齢における非妊娠女性の目安量は800mg/日と算定されており、妊娠によって必要量が異なることを示唆する報告は特にありません。

これらを考慮して、目安量を800mg/日としました。

*授乳婦(目安量)
授乳婦の血清リン濃度は、母乳への損失があるにもかかわらず高値であり、授乳婦ではリンの骨吸収量の増加と尿中排泄量の減少が観察されていることから、非授乳時の摂取量に加えてリンを摂取する必要はないと判断できます。

平成30年・令和元年国民健康・栄養調査では、非妊娠時、非授乳時の女性のリン摂取量の年齢区分調整済み中央値は854mg/日です。

一方、上述のように、妊娠可能な年齢における非妊娠女性の目安量は800mg/日と算定されています。これらを考慮して、授乳婦の目安量を800mg/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕