「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、目的に応じた活用上の留意点を説明しています。その中から食事評価の後半を紹介します。
〔食事評価〕
栄養素摂取量の評価には、基本的には食事調査の結果(測定された摂取量)を用います。
ただし、食事調査法に起因する測定誤差(特に過小申告・過大申告と日間変動)が、結果に及ぼす影響の意味とその程度を、十分に理解して評価を行うことが必要です。個人においては、日間変動が評価に与える影響が特に大きい点に留意します。
栄養素の摂取不足の回避を目的とした評価を行う場合には、推定平均必要量と推奨量を用います。推定平均必要量が算定されていない場合は、目安量を用います。測定された摂取量と推定平均必要量、推奨量から不足の確率を推定します。
推奨量付近か推奨量以上であれば不足のリスクは、ほとんどないと判断されます。推定平均必要量以上であるが推奨量に満たない場合は、推奨量を目指すことが勧められます。
ただし、他の栄養素の摂取状態なども考慮し、総合的に判断します。
推定平均必要量未満の場合は不足の確率が50%以上あるため、摂取量を増やすための対応が求められます。目安量を用いる場合は目安量と測定値を比較し、目安量以上を摂取していれば不足のリスクはほとんどないものと判断されます。
一方、摂取量が目安量未満であっても、目安量の定義から理解されるように、不足のリスクを推定することはできません。
栄養素の過剰摂取の回避を目的とした評価を行う場合には、耐容上限量を用います。測定された摂取量が耐容上限量を超えている場合には、過剰摂取と判断します。
生活習慣病などの発症予防を目的とした評価を行う場合には、目標量を用います。目標量は範囲で示されているものがあるため、目標量の特徴を考慮して、測定された摂取量との比較を行います。
なお、生活習慣病などには多数の原因があり、その複合的な結果として疾患が発症するため、ある種類の栄養素の結果だけを課題に重要視することは避けなければなりません。
対象とする生活習慣病などの中で対象とする栄養素が、どの程度、相対的な重要度を有しているのかを理解した上で、総合的な評価を行うことが勧められます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕