「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの鉄の欠乏回避の「必要量を決めるために考慮すべき事項」を紹介します。
〔必要量を決めるために考慮すべき事項〕
*基本的鉄損失
4集団41人(平均体重68.6kg)測定された基本的鉄損失は、集団間差が小さく、0.9〜1.0mg/日(平均0.96mg/日)です。その後の研究も、この報告を支持しています。
そこで、この平均値を体重比の0.75乗を用いて外挿して、性別および年齢区分ごとの値を算出しました。
*成長に伴う鉄蓄積
小児では、成長に伴って鉄が蓄積されます。
それはヘモグロビン中の鉄蓄積、非貯蔵性組織鉄の増加、貯蔵鉄の増加に大別されます。
1)ヘモグロビン中の鉄蓄積
ヘモグロビン中の鉄蓄積量は、6〜11か月、1〜9歳、10〜17歳について、それぞれアメリカ・カナダの食事摂取基準で採用された以下の式を用いて推定しました。
【6〜11か月】ヘモグロビン中の鉄蓄積量(mg/日)=体重増加量(kg/年)×体重当たり血液量[70mL/kg]×ヘモグロビン濃度[0.12g/mL]×ヘモグロビン中の鉄濃度[3.39mg/g]÷365日
【1〜9歳】ヘモグロビン中の鉄蓄積量(mg/日)=(1つ上の年齢区分のヘモグロビン量(g)−当該年齢区分のヘモグロビン量(g))×ヘモグロビン中の鉄濃度[3.39mg/g]÷1つ上の年齢区分の中間年齢−当該年齢区分の中間年齢)÷365日
【10〜17歳】ヘモグロビン中の鉄蓄積量(mg/日)=(参照体重(kg)×ヘモグロビン濃度増加量(g/L/年)+体重増加量(kg/日)×ヘモグロビン濃度増加量(g/L))×体重当たり血液量[0.075L/kg]×ヘモグロビン中の鉄濃度[3.39mg/g]÷365日
なお、1〜9歳の性別および年齢区分ごとの血液量は、1〜11歳の数値より、体重(kg)と血液量(L)との間の回帰式(男児:0.0753×体重−0.05、女児:0.0753×体重+0.01)を導いて推定しました。
血液中のヘモグロビン濃度は、カナダの研究で示された年齢とヘモグロビン濃度との回帰式によって推定しました。ヘモグロビン中の鉄濃度は3.39mg/gを用いました。
2)非貯蔵性組織鉄の増加
非貯蔵性組織鉄の増加は以下の式から推定しました。
「体重当たり組織鉄重量(0.7mg/kg)×年間体重増加量(kg/年)÷365(日)」
3)貯蔵鉄の増加
貯蔵鉄の増加分について、1〜2歳では総鉄蓄積量の12%という報告があります。
そこで、6か月から2歳までは、貯蔵鉄の増加分が総鉄蓄積量(2要因を含めた合計3要因)の12%になるように2要因の値から推定しました。
そして、3歳以後は、直線的に徐々に減少して、9歳で0(ゼロ)になると仮定しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






