「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの鉄の欠乏回避の「必要量を決めるために考慮すべき事項」の続きを紹介します。
〔必要量を決めるために考慮すべき事項〕
*月経に伴う鉄損失
月経に伴う鉄損失は、鉄欠乏性貧血の発生と強く関連します。
これまでの食事摂取基準では、20歳前後の日本人を対象にした複数の研究をまとめた報告に基づき、月経に伴う血液損失として、18歳以上には37.0mL/回、10〜17歳には31.1mL/回、月経周期として全年齢区分を31日を適用してきました。
しかし、これらの数値は過多月経の人を含めたものであり、50年以上前の報告も含まれていました。
2016年から2017年にかけて、31万人の日本人女性から得られた延べ600万の月経周期を解析した研究では、平均月経周期は15〜23歳頃にかけて長くなり、その後45歳頃では短くなった後、再び長くなることが示されています。
この報告から、月経周期として、18歳未満29日、18〜29歳31日、30〜49歳29日、50歳以上30日と見積もりました。
また、最近の研究では、過少月経と過多月経の者を除いた19〜39歳118人の月経分泌物量は67.4±27.4g/日と報告されています。
この報告は、対象者の年齢層が広く、過少および過多月経の者を除いた解析であり、これまでの報告よりも有用であると判断できます。
月経分泌物中の血液の含有割合を52.0%、日本人女性の血液比重を基準値(1.052〜1.060)の中間値1.056とすると、この報告が示す正常月経者の血液損失量は33.2±13.5mL/回となります。
以上より、要因加算に用いる月経に伴う血液損失量を全ての年齢層において33.2mL/回としました。
そして、全年齢層について、ヘモグロビン濃度135g/L、ヘモグロビン中の鉄濃度3.39mg/gを採用して、月経による鉄損失を10〜17歳で0.52mg/日、18〜29歳で0.49mg/日、30〜49歳で0.52mg/日、50歳以上で0.51mg/日と推定しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






