食事摂取基準32 食事改善の計画と実施1

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、目的に応じた活用上の留意点を説明しています。その中から食事改善の計画と実施を紹介します。

食事改善の計画と実施は、食事評価を行い、その結果に基づいて行うことが基本です。そのためには、対象とする個人の特性を十分に把握しておくことが重要となります。

ここでいう特性とは、性別、年齢、身体活動レベル、その他の主要な生活環境や生活習慣を指しています。また、目的に応じて臨床症状や臨床検査のデータを利用します。

エネルギーの過不足に関する食事改善の計画立案と実施には、BMIまたは体重変化量を用います。BMIが目標とする範囲内に留まることを目的として計画を立てます。体重の減少または増加を目指す場合は、定期的に体重を計測記録して、16週間以上フォローを行うことが勧められます。

例えば、食事制限もしくは運動、またはその両方を用いて体重減少を目的に行われた493の介入研究のメタ・アナリシスによると、介入前の平均BMIは33.2kg/㎡、平均介入期間は16週間であり、平均11kgの体重減少であったと報告されています。

推奨量が算定されている栄養素については、推奨量を用います。推奨量付近か、それ以上であれば現在の摂取量を維持させ、それ未満である場合は推奨量に近づくように計画を立てます。

ただし、実施可能性や他の栄養素の摂取状態を考慮し、総合的に判断します。目安量が算定されている栄養素については、目安量を用います。

現在の摂取量が目安量付近かそれ以上であれば、この水準を維持させます。一方、目安量未満の場合は、不足の有無や、そのリスクが判断できません。なお、大幅に下回っている場合には、エネルギーや他の栄養素の摂取量、身体計測や臨床検査の結果などを考慮した総合的な判断によって、摂取量の改善の必要性を検討します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕