「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの鉄の過剰摂取の回避の「耐容上限量の策定」の続きを紹介します。
〔耐容上限量の策定〕
*成人・高齢者(耐容上限量)
アルコール性肝障害患者では、エタノールによってヘプシジンの発現が抑制されるために、食事からの鉄摂取が過剰になると肝臓への鉄蓄積が進行して、症状が悪化すると考えられています。
しかし、遺伝的な素因がなく、アルコール多飲でもない健常者に関して、食事等からの鉄の摂取過剰が胃腸症状以外の健康障害を引き起こすという明確な証拠は見当たりません。
以上より、耐容上限量の設定は見合わせることとしました。
なお、月経のある日本人女性における鉄欠乏の最大の要因は、月経に伴う鉄損失であって、鉄摂取量とは関連がないという報告もあり、推奨量を超えて鉄を摂取して必ずしも貧血の予防にはつながらない可能性があります。
また、健常者であっても、長期にわたる鉄サプリメントの利用や食事からの過剰な鉄摂取が、臓器への鉄蓄積を介して、健康障害を起こす可能性は否定できないとされています。
したがって、推奨量を大きく超える鉄の摂取は、貧血の治療等を目的とした場合を除き、控えるべきです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






