「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの鉄の過剰摂取の回避の「耐容上限量の策定」の続きを紹介します。
〔耐容上限量の策定〕
*小児(耐容上限量)
成長期のラットに、適切量の約50倍に相当する1850μg/体重gの鉄をクエン酸第二鉄として含有する飼料を4週間投与した場合、トランスフェリン飽和率が顕著に上昇して、肝臓をはじめとする臓器に鉄の蓄積が認められます。
一方、同じ飼料を成熟期のラットに与えた場合、投与期間を24週間にしても蓄積は軽微です。
これらのことから、成長期においては、過剰な鉄摂取に対するペプシジンによる鉄吸収の調節は十分でない可能性が考えられます。
12〜18か月の小児に3mg/kg/日の鉄を硫酸第一鉄として4か月間毎日投与した場合、体重増加量が有意に減少したとの報告があります。
しかし、4〜23か月の乳幼児を対象にして、鉄補給を行った研究のメタ・アナリシスでは、鉄補給に伴う体重増加量の減少は僅かであり、統計学的に有意なものではなかったとしています。
一方、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、おおむね6歳以下の小児で鉄の過剰摂取が問題となるのは、鉄剤や鉄サプリメントの誤飲による急性の胃腸症状であるとしています。
動物実験の結果に基づくと、成長期においては過剰な鉄吸収を防止する調節機構が十分でない可能性があり、鉄の過剰摂取に関しては成人以上に注意する必要がありますが、小児においても、急性の胃腸症状以外に、鉄補給に伴う健康障害が明確でないことから、成人と同様に耐容上限量の設定は見合わせました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






