食事摂取基準338 亜鉛6

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの亜鉛の欠乏回避の必要量を決めるために考慮すべき事項の「推定平均必要量、推奨量の策定方法」の続きを紹介します。

〔推定平均必要量、推奨量の策定方法〕
*成人・高齢者(推定平均必要量、推奨量)
総排泄量を補う真の吸収量の達成に必要な摂取量の算定については、以下のように考えます。

イギリスとアメリカの成人男性を対象にした研究からは、回帰式「真の吸収量=1.113×摂取量0.5462」が得られます。

この式の真の吸収量に上記の数値を代入すると、摂取量は男性7.490mg/日、女性6.156mg/日となります。

これらの値を18〜29歳の男女における推定平均必要量として、体重比の0.75乗を用いて外挿することで、男女それぞれの年齢区分における推定平均必要量を算定しました。

高齢者について、月経血または精液による亜鉛の損失は考慮しなくてよいものの、高齢者では亜鉛吸収能力が低下しているという報告があることから、18〜29歳の男女の推定平均必要量をそのまま体重比の0.75乗を用いて外挿することで、男女それぞれの年齢区分における推定平均必要量を算定しました。

成人男性と65歳以上の女性の推奨量は、推定平均必要量に推奨量算定係数1.2を乗じて算出しました。

65歳未満の女性の推奨量は、日本人の月経分泌物量が67.4±27.4g/日であり、変動が大きいことを考慮して、個人間の変動係数を12.5%と見積もって、推定平均必要量に1.25を乗じた値としました。

これまでの食事摂取基準では、推定平均必要量と推奨量は整数値で示していましたが、尿中排泄量に関して日本人の数値を採用したことによって精度が向上したと判断して、要因加算法で値を算定している鉄と同様に0.5mg刻みとしました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕