「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの亜鉛の過剰摂取の回避の「摂取状況」と「耐容上限量の策定方法」を紹介します。
〔摂取状況〕
平成30年・令和元年国民健康・栄養調査における日本人成人(18歳以上)の亜鉛摂取量(平均値±標準偏差)は9.4±3.5mg/日(男性)、7.7±2.9mg/日(女性)です。
〔耐容上限量の策定方法〕
*成人・高齢者(耐容上限量)
大量の亜鉛の継続的摂取は、銅の吸収阻害による銅欠乏がもたらすSOD活性の低下、鉄の吸収阻害が原因の貧血等を起こします。
21人のアメリカ人男性(19〜29歳)において、亜鉛サプリメント50〜75mg/日の12週間継続使用によってHDL-コレステロールの低下を示しています。
また、18人のアメリカ人女性(25〜40歳)における亜鉛サプリメント50mg/日の10週間継続使用が、血清フェリチン、ヘマトクリット、赤血球のSOD活性の低下を起こしています。
この研究における女性の食事由来の亜鉛摂取量を19〜50歳のアメリカ人女性の亜鉛摂取量の平均値(10mg/日)と同じとすると、総摂取量は60mg/日となります。
一方、我が国においては、極端な偏食によってアメリカの症例よりも多い70mg/日の亜鉛を長期間継続摂取した体重42kgの女性が、銅欠乏性ミエロパチーを生じています。
以上より、銅含有酵素である赤血球SOD活性の低下を示したアメリカ人女性の亜鉛摂取量(60mg/日)を亜鉛の最低健康障害発現量と考えて、アメリカ・カナダの19〜30歳女性の参照体重(61kg)と不確実性因子1.5で除した0.66mg/kg体重/日に、性別と年齢区分ごとの参照体重を乗じて耐容上限量を算定しました。
*小児・乳児(耐容上限量)
十分な報告がないため、小児と乳児の耐容上限量は設定されていません。
*妊婦・授乳婦(耐容上限量)
十分な報告がないため、妊婦と授乳婦に特別な耐容上限量は設定されていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






