「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの亜鉛の「生活習慣病等の発症予防」を紹介します。
〔生活習慣病等の発症予防〕
亜鉛摂取量または血清亜鉛濃度を指標にして対象者を分割して、糖尿病または心血管疾患の発症リスクを比較している多数のコホート研究をレビューした報告では、高亜鉛状態が心血管疾患発症リスクを低下させるのは、糖尿病を有するか、心血管造影において高リスクと診断されている集団のみであり、一般には亜鉛状態とこれらの疾患の発症リスクとの関連は明確でないとしています。
また、亜鉛摂取量または血清亜鉛濃度によって定義される亜鉛状態と糖尿病発症リスクを低下させますが、発症リスクが高いのは、亜鉛の必要量が充足されていない場合であり、必要量を超える亜鉛摂取が糖尿病の発症リスクを低下させることの明確なエビデンスは存在しないと結論しています。
一方、亜鉛サプリメント投与と血清脂質との関連についてのメタ・アナリシスでは、亜鉛サプリメント投与が健康な人の血清総コレステロール、LDL-コレステロール、中性脂肪を有意に減少させるとしています。
しかし、このメタ・アナリシスの対象となった研究では、亜鉛サプリメントの投与量が15〜240mg/日の範囲であり、耐容上限量を上回る投与量も散見されます。
さらに、高血圧患者において血清亜鉛濃度が高血圧のない者よりも有意に低いという報告がありますが、亜鉛摂取による発症予防効果は明らかではありません。
以上より、亜鉛摂取と生活習慣病予防との関連については定量的なデータが不足しており、目標量(下限値)は設定されていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






