食事摂取基準345 亜鉛13

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルの亜鉛の「生活習慣病等の重症化予防」を紹介します。

〔生活習慣病等の重症化予防〕
糖尿病または糖・脂質代謝異常者に対する亜鉛サプリメント投与効果を検討したメタ・アナリシスが複数存在します。

これらの報告では、亜鉛サプリメント投与が糖尿病患者らの血清生化学検査値を改善させるとしています。

レビューの対象となった研究での亜鉛の投与量はほとんどが30mg/日以上であり、耐容上限量を上回る投与量も散見されますが、低容量(20〜25mg/日)の亜鉛を12週間以上投与した場合に検査値の改善が認められる場合が多いとする報告もあります。

しかし、日本人の成人に20〜25mg/日の亜鉛補給を行うと亜鉛の総摂取量は約30mg/日に達して、耐容上限量に近接します。

亜鉛の過剰摂取が糖尿病発症リスクを高める可能性および血清亜鉛濃度と糖尿病発症リスクに正の相関のあるという報告もあることから、糖尿病や糖代謝異常の悪化防止や改善のために、亜鉛摂取量を30mg/日以上に増やすことには慎重でなければなりません。

CKDから維持血液透析となった患者を対象に、栄養状態、脂質プロファイル、抗酸化療法と抗炎症療法に対する亜鉛補給の効果を調べた研究のメタ・アナリシスでは、亜鉛サプリメント投与によって血清亜鉛濃度とスーパーオキシドジスムターゼ活性が上昇して、C反応たんぱく質濃度が低下したことを示しています。

亜鉛の補給による抗炎症作用と抗酸化作用が示唆されましたが、この報告に含まれた研究での亜鉛投与量は11〜100mg/日であり、その多くが45mg/日以上でした。

以上より、糖尿病、脂質異常症、CKDに対する亜鉛の効果は薬理的なものと考えられることから、重症化予防のための量(下限値)は設定されていません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕