食事摂取基準35 集団の食事改善を目的とした活用2

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、集団の食事改善を目的とした活用目的に応じた活用上の留意点を説明しています。その中から食事評価を紹介します。

◎食事評価
エネルギー摂取の過不足を評価する場合にはBMIの分布を用います。今回提示した目標とするBMIの範囲を目安として、BMIが目標とする範囲内にある者(または目標とする範囲外にある者)の割合を算出します。

栄養素については、食事調査によって得られる摂取量の分布を用います。しかしながら、食事調査法に起因する測定誤差(特に過小申告・過大申告と日間変動)が結果に及ぼす影響の意味と程度を十分に理解して評価を行う必要があります。集団においては、過小申告・過大申告が評価に与える影響が特に大きい点に留意します。

推定平均必要量が算定されている栄養素については、推定平均必要量を下回る者の割合を算出します。正しい割合を求めるためには確率法と呼ばれる方法を用いるべきですが、現実的には確率法の利用可能な条件が整うことはまれです。

そこで、簡便法としてカットポイント法を用いることが多くなっています。

ただし、必要量の分布形が正規分布から大きく歪んでいる場合は、カットポイント法で求めた値は真の割合から遠くなることが理論的に知られており、この問題を有する代表的な栄養素は鉄です。

また、摂取量の平均値とその分布が推定平均必要量から大きく離れている場合も、カットポイント法で求めた値は真の割合から離れてしまいます。

目安量を用いる場合は、摂取量の中央値が目安量以上かどうかを確認します。摂取量の中央値が目安量未満の場合は、不足状態にあるかどうかは判断できません。

耐容上限量については、摂取量の分布と耐容上限量から過剰摂取の可能性を有する者の割合を算出します。

目標量については、摂取量の分布と目標量から目標量の範囲を逸脱する者の割合を算出します。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕