「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルのマンガンの「指標設定の基本的な考え方」を紹介します。
〔指標設定の基本的な考え方〕
マンガンを対象とした出納試験が国内外で試みられていますが、マンガンは吸収率が低く、大半が糞便中に排泄されることから、出納試験から平衡維持量を求めるのは困難です。
また、成人男性7名に0.11mg/日の低マンガン食を39日間摂取させた試験では、5名に水晶様汗疹が発生して、1.53mg/日のマンガンを含む試験食の投与で、この汗疹は消失したとの報告があります。
しかし、汗疹とマンガン摂取量との関連は不明です。
以上より、現状においてはマンガンの必要量を推定できないと判断して、マンガンの必要量を上回ると考えられる日本人のマンガン摂取量に基づいて目安量を算定することとしました。
一方、マンガンは、完全静脈栄養施行患者において補給を必要とする栄養素の1つとされていますが、投与法を誤ると中毒が発生します。
完全静脈栄養によって2.2mg/日のマンガンを23か月間投与された症例では、血中マンガン濃度の有意な上昇とマンガンの脳蓄積が生じて、パーキンソン病様の症状が現れています。
この症例のマンガン曝露は食事由来ではないものの、マンガンの過剰摂取による健康被害は無視できないことから、耐容上限量を設定する必要があると判断しました、
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






