「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、集団の食事改善を目的とした活用目的に応じた活用上の留意点を説明しています。その中から食事改善の計画と実施を紹介します。
◎食事改善の計画と実施
エネルギー摂取の過不足に関する食事改善の計画立案と実施には、BMIまたは体重変化量を用います。BMIが目標とする範囲内に留まっている者の割合を増やすことを目的として計画を立てます。数か月間(少なくとも1年以内)に2回以上体重を測定し、その変化を指標として計画を立てます。
栄養素の摂取不足からの回避を目的とした食事改善の計画立案と実施には、推定平均必要量または目安量を用います。推定平均必要量では、推定平均必要量を下回って摂取している者の集団内における割合をできるだけ少なくするための計画を立てます。
目安量では、摂取量の中央値が目安量付近かそれ以上であれば、その摂取量を維持する計画を立てます。摂取中の中央値が目安量を下回っている場合、不足状態にあるかどうか判断できません。
なお、大幅に下回っている場合には、エネルギーや他の栄養素の摂取身体計測や臨床検査の結果などを考慮した総合的な判断によって、摂取量の改善の必要性を検討します。
栄養素の過剰摂取からの回避を目的とした食事改善の計画立案と実施には、耐容上限量を用います。集団内のすべての者の摂取量が耐容上限量未満になるための計画を立てます。
耐容上限量を超えた摂取は避けるべきであり、それを超えて摂取している者がいることが明らかになった場合は、この問題を解決するために速やかに計画を修正して実施します。
生活習慣病などの発症予防を目的とした食事改善の計画立案と実施には、目標量を用います。摂取量が目標量の範囲内に入る者または近づく者の割合を増やすことを目的とした計画を立てます。
発症予防を目的とする生活習慣病などと関連する他の栄養関連因子および非栄養性の関連因子の存在とその程度を明らかにして、これらを総合的に考慮した上で、対象とする栄養素の摂取量の改善の程度を判断することが勧められます。
また、生活習慣病などの特徴から考え、長い年月にわたって実施可能な食事改善の計画と実施が望まれます。
以上の食事摂取基準の活用の考え方の作成に当たっては、アメリカ・カナダの食事摂取基準で採用された考え方を参照して、我が国のおける食事摂取基準の活用事例を考慮しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕