食事摂取基準368 ヨウ素4

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルのヨウ素の欠乏回避の「推定平均必要量、推奨量の策定方法」を紹介します。

〔推定平均必要量、推奨量の策定方法〕
*成人・高齢者(推定平均必要量、推奨量)
ヨウ素の摂取が適切な状態では、甲状腺のヨウ素蓄積量と逸脱量は等しく、ヨウ素濃度は一定となるので、甲状腺へのヨウ素蓄積量を必要量とみなすことができます。

アメリカの成人男女18人(平均年齢26歳、平均体重78.2kg)を対象とした報告では、甲状腺へのヨウ素蓄積量(平均値±標準偏差)を96.5±39.0μg/日としています。

また、男女274人(年齢、体重不明)を対象としたアメリカの研究は、ヨウ素蓄積量の平均値を91.2μg/日と報告しており、これらの値は近接しています。

そこで、年齢が明らかである前者の値(96.5μg/日)を日本人のヨウ素必要量を推定する参照値としました。

日本人のヨウ素の最大の供給源は昆布と昆布出汁であり、その内訳は、昆布60%、昆布出汁30%、その他10%と推定されています。

代表的な昆布製品である削り昆布に含まれるヨウ素の吸収率はヨウ化物よりも低く、約70%と見積もる研究が存在します。

以上より、日本人の食事からのヨウ素の吸収率は約80%と推定できます。

この80%を96.5μg/日に適用する必要量は120.6μg/日となります。

この値を、体重78.2kgの日本人の必要量と考え、性別年齢層別の参照体重と78.2kgの比の0.75乗を用いて外挿して、性別年齢層別の必要量を算定しました。

そして、得られた性別年齢層別の値の平均値である97.2μg/日を丸めた100μg/日を、成人男女共通のヨウ素の推定平均必要量としました。

上記のアメリカの研究から個人間変動を推定することは困難ですが、アメリカ・カナダの食事摂取基準では、変動係数(39.0/96.5=0.40)の半分(0.2)を個人間変動としています。

この考え方に従って、成人男女共通の推奨量は、個人間の変動係数を20%と見積り、推定平均必要量に推奨量算定係数1.4を乗じて得られる136μg/日を丸めた140μg/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕