食事摂取基準374 ヨウ素10

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルのヨウ素の過剰摂取の回避の「耐容上限量の策定方法」の続きを紹介します。

〔耐容上限量の策定方法〕
*成人・高齢者(耐容上限量)
日本人のヨウ素摂取量は平均で1〜3mg/日と推定できますが、甲状腺機能低下や甲状腺腫の発症は極めて稀です。

これより、我が国の一般成人に限定すれば、3mg/日をヨウ素摂取の最大許容量、すなわち健康障害非発現量とみなせると判断しました。

そして、3.0mg/日が一般集団についての推定値であることから、不確実性因子を1として耐容上限量を3.0mg/日と試算しました。

一方、我が国の報告では、主に昆布だし汁からのヨウ素28mg/日の約1年間の摂取事例、昆布チップ1袋を約1か月食べ続けた事例等、明らかに特殊な昆布摂取が行われた場合に、甲状腺機能低下や甲状腺腫が認められています。

我が国の健康な人を対象にした事件では、昆布から35〜70mg/日のヨウ素(乾燥昆布15〜30g)を10人が7〜10日間摂取した場合に血清TSHの可逆的な上層、27mg/日のヨウ素製剤を28日間摂取した場合に甲状腺機能低下と甲状腺容積の可逆的な増加が生じています。

これらを最低健康障害発現量と考えて、不確実性因子10を用いると、耐容上限量はそれぞれ2.8、3.5、2.7mg/日と試算できます。

ところで、北海道住民を対象にした疫学調査では、尿中濃度から10mg/日を上回るヨウ素摂取があると推定できる集団において、甲状腺機能低下の発生率が上昇しています。

ただし、この調査は、尿中ヨウ素濃度の測定が1回であるため、この結果から耐容上限量は算定できません。

以上より、健康障害非発現量、もしくは最低健康障害発現量に基づいて試算した耐容上限量が、いずれも3.0mg/日付近になることから、耐容上限量は一律3.0mg(3000μg)/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕