「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、今後の課題として、活用上の課題について説明しています。
◎活用上の課題
個人を対象とする場合も、集団を対象とする場合も、食事摂取基準の適切な活用には正しい摂取量推定に基づいた食事評価が必要です。
ところが、食事摂取基準の活用に適した食事調査法の開発(そのための研究を含む)と食事評価に関する教育と普及は十分とは言い難い状況があります。
このため、適切な食事調査法の開発研究と、その結果を踏まえた適切な食事評価方法についての教育・普及活動が、必須かつ急務の課題となっています。
献立などの作成あるいは摂取量推定では、多くの場合、日本食品標準成分表が使用されます。
日本食品標準成分表で採用されている測定法の変化により、エネルギー、いくつかの栄養素の食品中成分値に変化が生じています。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定時に根拠とした研究論文の多くは、旧来の測定法(「日本食品標準成分表・七訂」以前に採用された測定法)に基づく食品中の栄養素含有量を栄養計算に用いていると考えられています。
よって、「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で示された基準値と、「日本食品標準成分表・八訂」)を用いて栄養計算を行った結果を比較する際には、測定法の違いによる誤差が発生することがあり、注意が必要です。
この誤差への対応には、さまざまな集団での食事について、「日本食品標準成分表・七訂」と、それ以降の最新版の日本食品標準成分表を用いた場合の栄養計算結果の差に関する検討が複数必要となります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕