「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルのセレンの欠乏回避の「推定平均必要量、推奨量の策定方法」の続きを紹介します。
〔推定平均必要量、推奨量の策定方法〕
*妊婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
セレンの栄養状態が適切であれば、体重1kg当たりのセレン含有量は約250μg、と推定されています。
最近の我が国の出生時体重の平均値である約3kgの胎児を出産する妊婦の場合、胎盤(胎児の約6分の1の重量)を合わせた約3.5kgに対して必要なセレンは約900μgとなります。
さらに、セレンは血液中にも170〜198μg/L(平均184μg/L)含まれており、妊娠中に生じる血液体積の30〜50%の増加についても考慮する必要があります。
体重当たりの血液量を0.075L/kgとすると、18〜29歳と30〜49歳女性の参照体重の年齢区分人口比による重み付け平均値(52.6kg)の女性で、1.1〜1.9Lの血液増加になるので、これに血液中セレン濃度を乗じると、血液増加に伴って必要となるセレンは約300μgとなります。
したがって、両者を合わせた約1200μgが妊娠に伴って必要なセレン量となります。
食事中セレンの吸収率を90%、妊娠期間280日として1日当たりの量(1200/0.9/280)を算定して、得られた4.76μg/日を丸めた5μg/日を、妊娠における推定平均必要量の付加量としました。
推奨量の付加量は、個人間の変動係数を10%と見積り、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数1.2を乗じた値(5.71μg/日)を丸めた5μg/日としました。
*授乳婦の付加量(推定平均必要量、推奨量)
日本人の母乳中セレン濃度に関する研究は、互いに近似した値を報告しています。
これらの中で、4000人以上を対象とした報告の平均値(17μg/L)を日本人の母乳中セレン濃度の代表値としました。
この値と基準哺乳量(0.78L/日)、食品中セレンの吸収率(90%)に基づいて、得られた14.7μg/日(17×0.78/0.90)を丸めた15μg/日を授乳婦における推定平均必要量の付加量としました。
推奨量の付加量は、個人間の変動係数を10%と見積り、推定平均必要量の付加量に推奨量算定係数1.2を乗じて得られる17.7μg/日を丸めた20μg/日としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






