食事摂取基準396 クロム5

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から微量ミネラルのクロムの「生活習慣病等の発症予防」を紹介します。

〔生活習慣病等の発症予防〕
3価クロムのサプリメントと糖代謝の関連を検討した41の疫学研究を、対象者を2型糖尿病患者、耐糖能低下者、耐糖能非低下者に分けて比較したメタ・アナリシスは、糖尿病患者へのクロムサプリメント投与は血糖値とHbA1c値の改善をもたらす場合が多くなっていますが、非糖尿病の人への投与は、耐糖能低下者がある場合を含めて、血糖値とHbA1c値に何らかの影響を与えないとしています。

ここで検討の対象となった疫学研究で用いられているクロムは、塩化クロム、ピコリン酸クロム、クロム酵母であり、糖尿病患者に対して効果のあった投与量は、塩化クロムとピコリン酸クロムが200〜1000μg/日、クロム酵母が10〜400μg/日です。

一方、肥満の非糖尿病患者へのクロムサプリメント(500μg/日、ピコリン酸クロム)の効果を調べた無作為化比較試験は、クロムのメタボリックシンドロームに対する効果を認めていません。

さらに、耐糖能低下、空腹時血糖値の上昇、メタボリックシンドロームのいずれかに状態にあって、糖尿病発症リスクが高いと考えられる人にクロム(ピコリン酸クロム)を500μg/日または1000μg/日を投与した研究でも、クロムの効果を全く認めていません。

以上の報告は、3価クロム投与が糖尿病やメタボリックシンドロームの発症予防に効果がないことを示しています。

したがって、生活習慣病の発症予防のための目標値(下限量)を設定する必要はないと判断されています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕