「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連について説明しています。その中の高血圧と特に関連の深い栄養素の「カリウム」を紹介します。
〔カリウム〕
野菜、果物、低脂肪乳製品が豊富な食事パターンであるDASH食は、その血圧低下効果が証明されていますが、カリウムはその主要な栄養素の1つです。
介入試験のメタ・アナリシスでは、カリウム摂取量増加は高血圧者では有意な血圧低下効果が認められました。
コホート研究のメタ・アナリシスでは、カリウム摂取量が高いほど脳卒中のリスクが低下しましたが、冠動脈疾患のリスクには有意な関連はありませんでした。
別のメタ・アナリシスでは、カリウム摂取量が高いほど心血管イベントのリスクが有意に低下しました。
一方、近年、ナトリウム/カリウム摂取比あるいは尿ナトリウム/カリウム排泄比が循環器疾患リスクと関連することが報告されています。
我が国でも、ナトリウム/カリウム比と高血圧および循環器疾患リスクとの正の関連が報告されています。
前述の前向きコホート研究のメタ・アナリシスでは、尿中カリウム排泄量および尿ナトリウム/カリウム排泄比のそれぞれの第4四分位群の循環器疾患リスクは、各第1四分位群の0.69倍、1.62倍であることが示されました。
すなわち、カリウムは、食塩過剰摂取の血圧上昇などの作用に拮抗していると考えられています。
2012年のWHOのガイドラインでは、血圧低下および脳卒中リスク低下のためにカリウム摂取量90mmol(3510mg)/日以上が推奨されており、また、WHOガイドラインの推奨摂取量を達成した場合、ナトリウム/カリウム摂取比はほぼ1対1(単位はmmol/mmol)になり、健康への好影響をもたらすとしています。
なお、腎障害を有する人では高カリウム血症を来し得るので、カリウムの積極的摂取は避けるべきです。
「高血圧治療ガイドライン2019」では、野菜・果物の積極的摂取を推奨しています(カリウム制限が必要な腎障害患者を除く)。
近年、塩化ナトリウムの一部を塩化カリウムで置換した代替塩によるナトリウム摂取量の減少とカリウム摂取量の増加は循環器疾患の発症および総死亡を減少させることが報告されました。
また、代替塩の効果を検討したメタ・アナリシスでも、代替塩による血圧低下、循環器疾患の発症および死亡のリスク低下が示されています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






