食事摂取基準42 エネルギー摂取量、消費量、必要量の推定の関係

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から、エネルギー摂取量、エネルギー消費量、エネルギー必要量の推定の関係を紹介します。

エネルギー消費量を推定するためには、体重が一定の条件下で、その摂取量を推定する方法と、その消費量を測定する方法の2つに大別されます。

前者には各種の食事アセスメント法があり、後者には二重標識水法から直接消費量を測定する方法か、基礎代謝量と身体活動レベルの測定値や性、年齢、身長、体重を用いてエネルギー消費量を推定する方法があります。

食事調査法は、いずれの方法を用いてエネルギー摂取量に関しては測定誤差が大きく、そのために、エネルギー摂取量を測定しても、そこからエネルギー摂取量ではなく、エネルギー消費量からアプローチする方法が広く用いられています。

特に、二重標識水法は、2週間程度の(ある程度習慣的な)エネルギー消費量を直接測定できて、その測定精度も高いため、エネルギー必要量を推定するための有用な基本情報が提供されます。

これに身体活動レベルを考慮すれば、性・年齢階級・身体活動レベル別にエネルギー必要量を推定できます。

しかしながら、エネルギー必要量には無視できない量の推定困難な個人間差が存在します。そのために、基礎代謝量と身体活動レベルなどを用いる推定式も含めて、個人レベルのエネルギー必要量を推定するのは困難であると考えられています。

なお、エネルギー摂取量の測定とエネルギー消費量の測定は、まったく異なる測定方法を用いるため、それぞれ固有の測定誤差を持っています。したがって、想定されたエネルギー摂取量とエネルギー消費量を比較する意味は乏しくなっています。

それに対して、エネルギー収支の結果は体重の変化やBMIとして現れることを考えると、体重・体組成の変化やBMIを把握すれば、エネルギー収支の概要をすることができます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕