食事摂取基準421 高血圧13

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連について説明しています。その中の高血圧と特に関連の深い栄養素の「n-3系脂肪酸」を紹介します。

〔n-3系脂肪酸〕
DASH食では、魚を増加させており、魚油由来の長鎖n-3系脂肪酸〔エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(DPA)など〕は要素の1つとなっています。

これに関連して「高血圧治療ガイドライン2019」では、多価不飽和脂肪酸の積極的摂取が推奨されています。

我が国を含む国際共同研究INTERMAPからの報告などの観察研究で、n-3系脂肪酸の摂取量が多い者は血圧が低いことが示されています。

また、EPA、DHA、DPAの総和の血中レベルが高い者は血圧が低いという報告もあります。

INTERMAPでは、植物油由来のα-リノレン酸を含むn-3系脂肪酸摂取量は日本人では約3g/日、EPAとDHAの合計が約1g/日であり、欧米に比べるとかなり摂取量が多くなっています。

介入試験のメタ・アナリシスでは、2〜3g/日のn-3系脂肪酸(EPA+DHA)摂取による血圧低下が示されました。

一方、別のメタ・アナリシスでは、n-3系脂肪酸の摂取を増加させても血圧には影響しないとしています。

n-3系脂肪酸摂取による循環器疾患リスク低下を示す観察研究の報告は国際的に多く、血圧低下以外のメカニズムも推測されています。

魚油由来n-3系脂肪酸摂取が世界でも特に多い日本人においても、コホート研究において心筋梗塞、脳卒中、心不全などのリスク低下が報告されています。

一方、介入試験のメタ・アナリシスでは、n-3系脂肪酸摂取は虚血性冠動脈疾患のリスクを低下させるとしましたが、エビデンスレベルは低から中等度にとどまっています。

n-3系脂肪酸摂取の長期にわたる循環器疾患予防効果については、更なる知見の集積が必要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕