食事摂取基準439 脂質異常症13

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連について説明しています。その中の脂質異常症と特に関連の深いエネルギー・栄養素の「食事性コレステロール」の続きを紹介します。

〔食事性コレステロール〕
日本動脈硬化学会による「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、冠動脈疾患のリスクに応じてLDL-コレステロールの管理目標値が定められており、高LDL-コレステロール血症患者では、コレステロールの摂取を200mg/日未満、飽和脂肪酸の摂取を7%エネルギー未満にすることによって、LDL-コレステロール低下効果が期待できるとしています。

なお、アメリカで行われた6つのコホート研究では、コレステロール摂取量および鶏卵摂取量と循環器疾患発症率および総死亡率の間に、いずれも有意でほぼ直線的な正の関連が観察されています。

その後に報告されたアメリカの別のコホート研究で、心血管疾患およびがんに罹患していない閉経後女性においても同様の結果が確認されています。

一方、22のコホート研究のメタ・アナリシスでは、鶏卵摂取量と脳卒中および冠動脈疾患との間には有意な関連はなかったものの、糖尿病患者ではどちらとも正の相関が認められています。

14のコホート研究のメタ・アナリシスでは鶏卵摂取量と冠動脈疾患との間に正の相関を示して、さらに糖尿病発症との関連を認めています。

あるメタ・アナリシスでは鶏卵摂取による総コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロールの増加が認められて、hyper-responderとhypo-responderで分けて解析したメタ・アナリシスでは、鶏卵摂取はhyper-responderで有意にLDL-コレステロールを増加させた一方で、hypo-responderでは有意な増加が認められませんでした。

また、日本人における鶏卵摂取と血清脂質や心血管疾患発症の関連の報告をみると、JPHC研究では、週当たりの鶏卵摂取量と冠動脈疾患発症との関連はなかったものの、NIPPON DATA80では、女性で虚血性心疾患および総死亡率との有意な正の関連が認められています。

以上より、日本人の食事摂取基準において、少なくとも循環器疾患予防の発症予防の観点から目標量(上限)を設けるのは難しいものの、これは許容されるコレステロール摂取量に上限が存在しないことを保証するものではなく、脂質異常症の重症化予防の観点からは、200mg/日未満に留めることが望ましいとされています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕