食事摂取基準441 脂質異常症15

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連について説明しています。その中の脂質異常症と特に関連の深いエネルギー・栄養素の「その他」の続きを紹介します。

〔その他〕
*トランス脂肪酸
トランス脂肪酸は、LDL-コレステロールを上昇させ、HDL-コレステロールを低下させる作用がありますが、トリグリセライドの変動に関しては一定した見解は得られていません。

しかし、トランス脂肪酸を含む植物油を他の油脂に置換した無作為化比較試験のメタ・アナリシスでは、一価不飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸に置換した場合に、総コレステロール、LDL-コレステロール、トリグリセライドの有意な低下とHDL-コレステロールの上昇が認められています。

また、コホート研究のメタ・アナリシスでは、置換解析の結果、トランス脂肪酸を飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸または多価不飽和脂肪酸に置換した場合に算出される冠動脈疾患リスクの低下が示されています。

アメリカのコホート研究では、トランス脂肪酸摂取量は総死亡リスクおよび心血管疾患死亡リスクの上昇との関連が示されています。

日本人に関するものでは、メタボリックシンドローム患者および若年の冠動脈疾患患者で、工業由来のトランス脂肪酸であるエライジン酸血中濃度が高かったという横断研究があります。

トランス脂肪酸の摂取量が少ない場合(1%エネルギー未満)は、血清LDL-コレステロールへの影響は同時に摂取する飽和脂肪酸の量によっても規定される可能性があります。

我が国のトランス脂肪酸摂取量は、他国と比較しても低く、平均値で世界保健機関(WHO)が推奨する1%エネルギー未満を下回っており、通常の食生活ではトランス脂肪酸の摂取による健康への影響は小さいと考えられます。

しかし、日本人においてもトランス脂肪酸の摂取量は1%エネルギー未満に留めることが望ましく、1%エネルギー未満でもできるだけ低く留めることが望ましいと考えられます。

脂質の多い菓子類の食べ過ぎなど偏った食事をしている場合は、平均値を上回る摂取量となる可能性があるために注意が必要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕