「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連について説明しています。その中の糖尿病と特に関連の深い栄養素の「炭水化物」の続きを紹介します。
〔炭水化物〕
日本人を対象にした低炭水化物食の効果を検討した研究は、海外に比べて更に少なくなっています。
日本人2型糖尿病を対象に、6か月間130g/日の低炭水化物食の効果を観察した研究では、低炭水化物食群で体重減少とHbA1c値の有意な低下が認められましたが、同時に総エネルギー摂取量も減少していました。
また、エネルギー摂取制限食群と低炭水化物食群(130g/日未満)を設定して、6か月後に各パラメーターを比較すると、総エネルギー摂取量が均しく減少して、体重変化も両群で同等であったものの、低炭水化物食群でHbA1c値と血中トリグリセライドの有意な改善が認められたとする報告もあります。
一方、非アルコール性死亡性肝疾患を伴う2型糖尿病を対象とした研究では、低炭水化物食群(70〜130g/日未満)は、エネルギー摂取制限食群と比較して3か月後の内臓脂肪面積の有意な減少は認められましたが、HbA1c値や総エネルギー摂取量、QOLに有意な差はなかったと報告されています。
このように、炭水化物制限による血糖指標と体重変化に対する効果には一定の見解が得られていないものの、2型糖尿病患者において、約130g/日の炭水化物制限によって有害事象はなく、6か月後のHbA1c値の改善が認められたとの報告もあることから、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン2024」では、2型糖尿病の血糖コントロールのために、6〜12か月以内の短期間であれば炭水化物制限は有用とされています。
一方で、総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限することで体重やHbA1c値の改善を図ることは、その効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性を担保する上での科学的根拠が不足しており、その実施には注意が必要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕






