食事摂取基準470 骨粗鬆症7

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病とエネルギー・栄養素との関連について説明しています。その中の骨粗鬆症と特に関連の深いエネルギー・栄養素の「カルシウム」の続きを紹介します。

〔カルシウム〕
食事による介入に加えて、サプリメントによるカルシウム補給の骨密度上昇効果を検討した研究も多く存在しますが、効果は有効でもわずかなものが多く、食事によるカルシウム摂取量の増加の介入効果と比較しても、大きな差があるとはいえません。

骨量の維持によって骨折の予防が期待されますが、実際に骨折をアウトカムとした研究については。その結果にばらつきが見られます。

我が国において、40〜69歳の男女約3万人を対象としたコホート研究では、女性において食事由来のカルシウム摂取量と、10年間の追跡期間中の骨折発生との間に負の関連を認めています。

40〜74歳の日本人男女約1万3千人を5年間追跡した別のコホート研究でも、女性において主要骨粗鬆症性骨折との関連に同様の結果が得られています。

中国のコホート研究では、中高年男性でも、カルシウム摂取量と約9.5年間の追跡期間中の脆弱性骨折に関連が認められています。

一方で、国内外のコホート研究のレビューでは、カルシウム摂取量と骨折の発生率の間に意味のある関連は認められていません。

また、主に中高年を対象としたカルシウム摂取量の付加と骨折に関する介入研究のメタ・アナリシスでは、おおむね臨床的な意味を認めていません。

特に食事による介入は限られており、十分な知見はありません。

サプリメントによる補給の研究については、主に中高年を対象とした無作為化比較試験が多く行われているものの、メタ・アナリシスにおいて有意な骨折抑制効果を認めていません。

以上を踏まえると、十分なカルシウム摂取量は骨量の維持に必要であり、カルシウム摂取量が少ないことは低骨量のリスク因子になるといえますが、中高年においてカルシウム摂取量を増やしても、骨密度の低下や骨折を予防する効果は小さいと考えられます。

また、主にサプリメントを用いた介入研究は多く、特に1000mg/日以上のカルシウムサプリメントを用いた場合に心筋梗塞のリスク上昇が報告されています。

これに否定的な見解もあるものの、特に1000mg/日以上のカルシウムサプリメントの使用には慎重になるべきです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕