「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から、目標とするBMIの範囲を紹介します。
総死亡率をできるだけ低く抑えられると考えられるBMIを基本として、BMIと主な生活習慣病の有病率、医療費、高齢者における身体機能の低下、労働者における身体機能低下による退職との関連を考慮して、目標とするBMIの範囲を成人について定めています。
具体的には、すべての年齢で上限のBMIを24.9として、下限を18〜49歳では18.5としています。その上で、65歳以上では総死亡率からみると、総死亡率をできるだけ低く抑えられるのが20.0から21.0付近となりますが、その他の考慮すべき健康障害などを勘案して21.5としています。50〜64歳では上下の年齢区分における値を考慮して、その中間値である20.0としています。
ただし、BMIは総死亡や生活習慣病の発症、健康障害の1つの原因にすぎません。運動不足や喫煙習慣のように、他にも多数の要因があります。
そして、これらは個人ごとに異なります。
今回の基準の策定では、その測定の容易さを評価してBMIを用いることにしていますが、BMIは肥満ややせを必ずしも正確に評価できる指標ではありません。
したがって、体重管理においてBMIだけを厳格に管理する意味は乏しくなっています。特に、65歳以上の高齢者では、個人の尊厳や生活の質の維持にも十分に配慮して、個々人の特性を十分に踏まえた対応が望まれます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕