「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から、特別の配慮を必要とする集団を紹介します。
高齢者、乳児・小児、妊婦などにおいては、それぞれ特有の配慮が必要となります。
また、若年女性はやせの者の割合が高く、令和元年国民健康・栄養調査では18〜29歳の女性で19.0%となっています。若年女性のやせ対策として、より早い年齢からの栄養状況の精査と対応が必要です。
◎高齢者
高齢者においては、基礎代謝量、身体活動レベルの低下によって、エネルギー必要量が減少します。同じBMI(体重)を維持する場合でも、身体活動レベルが低いとエネルギー摂取量はさらに少なくなり、たんぱく質や他の栄養素の充足がより難しくなります。
身体活動量を増加させ、高いエネルギー消費量と摂取量のバランスによって望ましいBMIを維持することが重要です。身体活動量の低下は、フレイルの表現型であり、原因でもあります。
なお、高齢者においては、BMIの評価に当たり、脊柱や関節の変形による身長短縮が影響することも考慮が必要です。体組成評価の必要性も指摘されますが、近年では筋力を重視する考え方であり、現場で評価可能な指摘について更に検討が必要です。
◎乳児・小児
乳児・小児においては、成長曲線に照らして成長の程度を確認します。成長曲線は、集団の代表値であって、必ずしも健康か否かということや、その程度を考慮したものではありません。
しかし、現時点では成長曲線を参照して、成長の程度を確認して、判断することが最も適当と考えられます。
成長曲線は、一時点における成長の程度(肥満・やせ)を判別することよりも、一定期間における成長の方向(成長曲線に並行して成長しているか、どちらかに向かって遠ざかっているか、成長曲線に向かって近づいているか)を確認し、成長の方向を判断するために用いることに適しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕