「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から、特別の配慮を必要とする集団の後半を紹介します。
◎妊婦
妊婦の体重は、妊娠中に、どの程度増加するのが最も望ましいかについては、数多くの議論があります。それは、望ましいとする指標によって異なります。
◎若年女性
我が国の若年女性は、やせの者の割合が高くなっています。国民健康・栄養調査によれば、20歳代女性のやせの者(BMI<18.5)の割合は、1990年代初頭に20%台前半に達して、以降はばらつきがあるものの横ばい傾向にあります。
若年女性の低体重は骨量低下を来しやすく、将来の骨粗鬆症のリスクとなります。一方で、20歳代以降は、女性も男性と同様に平均BMIが増加して、肥満者(BMI≧25)の割合が増加して、やせの者の割合が減少しています。
平均BMIの増加は、高齢期において死亡率の低いBMIの範囲に移行する望ましい変化の可能性もありますが、やせの体重増加は、サルコペニア肥満を招き、インスリン抵抗性と関連する代謝異常や高齢期のADL低下の原因となる可能性もあります。
若年女性のやせは、出生コホートの影響や小児から思春期におけるBMIの増加不良などにつながり、より早い年齢からの栄養状況の精査と対応が必要です。また、原因についても更に研究が必要です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕