「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から推定エネルギー必要量の算定方法を対象別に紹介します。
〔算定方法〕
◎成人
「推定エネルギー必要量=体重1kg当たりの基礎代謝基準値×参照体重×身体活動レベル基準値」を用いて、性・年齢区分・身体活動レベル(カテゴリー)別に、推定エネルギー必要量を求めています。
◎乳児
成長期である乳児では、「推定エネルギー必要量(kcal/日)=エネルギー消費量(kcal/日)+エネルギー蓄積量(kcal/日)」です。
エネルギー消費量については、FAO/WHO/UNUは、二重標識水法を用いた先行研究で報告された結果に基づいて、性、年齢(月齢)、体重、身長、エネルギー消費量との関係を検討した結果、母乳栄養児のエネルギー消費量は、体重だけを独立変数とする次の回帰式で説明できたと報告しています。
「エネルギー消費量(kcal/日)=92.8×体重(kg)−152.0」
日本人の乳児について、二重標識水法によってエネルギー消費量を測定した報告は存在していません。
そのため、この回帰式に参照体重を代入してエネルギー消費量(kcal/日)を求めました。
エネルギー蓄積量は、参照体重から1日当たりの体重増加量を計算して、これと組織増加分のエネルギー密度との積としました。
推定エネルギー必要量は乳児の月齢別(0〜5か月、6〜8か月、9〜11か月)に示しました。なお、体重変化が大きい0〜5か月において、月齢区分の前半と後半で推定エネルギー必要量に大きいさがあることも留意すべきです。
また、一般的に人工栄養児は、母乳栄養児よりもエネルギー消費量が多いことにも留意する必要があります。
なお、FAO/WHO/UNUは人工栄養児については、下記の回帰式でエネルギー消費量を推定できるとしています。
「エネルギー消費量(kcal/日)=82.6×体重(kg)−29.0」
◎小児
成長期である小児(1〜17歳)では、身体活動に必要なエネルギーに加えて、組織合成に要するエネルギーと組織増加分のエネルギー(エネルギー蓄積量)を余分に摂取する必要があります。
そのうち、組織の合成に消費されるエネルギーはエネルギー消費量の総量に含まれるため、付加量(kcal/日)はエネルギー蓄積量(kcal/日)に等しくなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕