食事摂取基準65 個人間差

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から個人間差を紹介します。

〔個人間差〕
たとえ、性、年齢、身長、体重、身体活動レベルが完全に同じであっても、個人間でエネルギー量は必ずしも同じではなく、個人間差が存在します。

個人間差の程度を明らかにするのは難しいものの、アメリカ・カナダの食事摂取基準が紹介したエネルギー必要量の推定式では、年齢、身長、体重、身体活動レベルが同じであると仮定したときのエネルギー必要量の分布の標準偏差が、成人男性では±199kcal/日、成人女性では±164kcal/日と推定されています。

そこで、エネルギー必要量の分布が正規分布であると仮定しています。

例えば、成人男性では平均推定エネルギー必要量±199kcal/日(幅は398kcal/日)、女性ではエネルギー必要量±164kcal/日(幅は328kcal/日)の範囲内にいる対象者は対象者全体の68%(7割弱)に過ぎません。

このことは、エネルギー必要量には相当に大きな個人間差が存在して、そのために推定エネルギー必要量を摂取しても、個人ごとにみれば体重は維持できない(減少する者も増加する者も出現する)ことを示しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕