「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から健康の保持と欠乏の回避の「推定平均必要量、推奨量の策定方法」の後半(新生組織蓄積量)の続きを紹介します。
◎新生組織蓄積量
*妊婦
妊娠期の体たんぱく質蓄積量は体カリウム増加量から、以下によって間接的に算定できます。
(体たんぱく質蓄積量)=(体カリウム増加量)/(カリウム・窒素比)×(たんぱく質換算係数)
妊娠後期の平均の体カリウム増加量は2.08mmol/日であり、これにカリウム・窒素比(2.15mmol カリウム/g 窒素)およびたんぱく質換算係数(6.25)を用いると、体たんぱく質蓄積量は6.05g/日となります。
ここで、新生組織におけるたんぱく質蓄積量は、妊娠中の体重増加量によって変化することを考慮に入れる必要があります。すなわち、最終的な体重増加量を11kgとして、多くの研究報告による妊娠中体重増加量に対して補正を加えて、それぞれの研究における体カリウム増加量を求めて、体たんぱく質蓄積量を算定しました。
妊娠各期における体たんぱく質蓄積量の比は、「初期:中期:後期=0:1:3.9」であるという報告を用いて、観察期間が中期・後期である報告については、この期間の総体たんぱく質蓄積量を求め(妊娠日数280に2/3を乗じる)、単純に上記の比率で中期と後期に割り当てた後、それぞれの期間の1日当たりの体たんぱく質蓄積量を算出しました。
このようにして各研究から得られた値を単純平均して算出すると、初期:0g/日、中期:1.94g/日、後期:8.16/日となります。
たんぱく質の蓄積効率を43%として、「(新生組織蓄積量)=(体たんぱく質蓄積量)/(たんぱく質の蓄積効率)」としました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕