食事摂取基準81 生活習慣病等の発症予防2

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から生活習慣病等の発症予防の「生活習慣病及びフレイルとの関連」の続きを紹介します。

〔生活習慣病及びフレイルとの関連〕
摂取した栄養素の「量」を評価できる方法に着目すると、台湾の高齢者を対象として、たんぱく質摂取量とフレイルの罹患率との関連を検討した横断研究では、フレイルを有する者(男性:1.11g/kg 体重/日、女性:0.9g/kg 体重/日)と比較して、フレイルでない者(男性:1.34g/kg 体重/日、女性:1.26g/kg 体重/日)のたんぱく質摂取量が多くなっていました。

一方で、ブラジル人高齢者(女性が8割を占める)を対象として、たんぱく質摂取量とフレイルの罹患率との関連を検討した横断研究では、フレイルの有無の違いで、たんぱく質摂取量に違いはありませんでした。

結果が一致しない要因の1つとして、ブラジル人を対象とした研究では、集団の平均たんぱく質摂取量が多い(1.5g/kg 体重/日以上)ため、たんぱく質摂取量以外の要因が影響した可能性があります。

フレイルとサルコペニアの判定基準には、たんぱく質が直接的に影響する可能性がある体重減少、握力、筋量、歩行速度と、たんぱく質が間接的に影響する可能性がある身体活動の低下、さらにはたんぱく質以外の要因が大きく関連する可能性が高い疲労感といった項目が含まれるため、上記のように結果が一致しない可能性があります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕