食事摂取基準94 飽和脂肪酸2

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から飽和脂肪酸の健康の保持・増進の「生活習慣病の発症予防」を紹介します。

〔生活習慣病の発症予防〕
◎生活習慣病との関連
成人においては、飽和脂肪酸摂取量と血中(血清または血漿)総コレステロール濃度との間に正の関連が観察されることはKeysの式とHegstedの式として古くから知られており、27の介入試験をまとめたメタ・アナリシスでも、さらに研究数を増やした別のメタ・アナリシスでも、ほぼ同様の結果が得られています。

これはLDLコレステロール濃度でも同様です。

ただし、複数の研究について飽和脂肪酸の炭素数別に検討した報告によると、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸(炭素数が12〜16)では有意な上昇が確認されましたが、ステアリン酸(炭素数が18)では有意な変化は観察されず、飽和脂肪酸の中でも炭素数の違いによって血清コレステロール濃度への影響が異なることも指摘されています。

飽和脂肪酸摂取量と総死亡率、循環器疾患死亡率、冠動脈疾患死亡率、冠動脈疾患発症率、脳梗塞発症率、2型糖尿病発症率との関連をコホート研究で検討した結果を統合したメタ・アナリシスでは、いずれも有意な関連は認められなかったという報告や、飽和脂肪酸摂取量の増加が総死亡リスクの上昇と関連するという報告がなされており、結果が一貫していません。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕