「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から飽和脂肪酸の健康の保持・増進の「目標量の策定方法」を紹介します。
〔目標量の策定方法〕
*成人・高齢者(目標量)
既存の研究成果を基に目標量(上限)を算定することは困難です。
そこで、日本人が現在摂取している飽和脂肪酸量を測定し、その中央値をもって目標量(上限)とすることにしました。
世界保健機関(WHO)をはじめとする国際的なガイドラインでは上限を最大10%エネルギーとしているガイドラインが多くなっていますが、諸外国において摂取量分布を鑑みて、飽和脂肪酸量を10%エネルギーまで減らすことが推奨されています。
日本人の摂取量の中央値は10%エネルギーを下回っているのが現状です。最近の調査で得られた摂取量(中央値)を基に活用の利便性を考慮して、目標量(上限)を7%エネルギーとしました。
*小児(目標量)
既存の研究成果を基に目標量(上限)を算定することは困難です。そこで、日本人の飽和脂肪酸の摂取量の中央値をもって目標量(上限)としました。
最近の調査で得られた摂取量(中央値)を基に活用の利便性を考慮して、目標量(上限)を男女共通の値として、3〜14歳は10%エネルギー、15〜17歳は9%エネルギーとしました。
1〜2歳については、この年齢区分における循環器疾患危険因子との関連を検討した研究が少なかったこと、日本人の摂取量の実態に関する信頼度の高い報告はまだ少なく、その実態はまだ十分に明らかにされていないと考えられたことなどを考慮して、今回は目標量の設定を見送りました。
*妊婦・授乳婦(目標量)
生活習慣病の発症予防の観点から見て、妊婦と授乳婦が同年齢の非妊娠・非授乳中の女性と異なる量の飽和脂肪酸を摂取すべきとするエビデンスは見出せていません。
したがって、目標量は非妊娠・非授乳中の女性と同じとしました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕