食事摂取基準97 飽和脂肪酸5

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中から飽和脂肪酸の健康の保持・増進の「重症化予防」を紹介します。

〔重症化予防〕
発症予防と同様に重症化予防についても、飽和脂肪酸摂取量の制限が有効であることがメタ・アナリシスによって示されています。

ところが、心筋梗塞の既往者に限定して、その後の総死亡率などへの脂質(脂肪酸)摂取量が与える影響を検討した結果をまとめたメタ・アナリシスでは、飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に変える食事改善は、総死亡率、循環器疾患死亡率、循環器疾患発症率、心筋梗塞発症率のいずれとも有意に関連を示さなかったとしています。

一方、飽和脂肪酸摂取量の制限が血中総コレステロール濃度とLDLコレステロール濃度を下げることは健康な者のみならず、既に脂質異常症を有する患者でも観察されています。

また、2年以上の介入試験のメタ・アナリシスにおいても、飽和脂肪酸摂取量の制限が血中総コレステロール濃度とLDLコレステロール濃度を下げることが示されています。

したがって、脂質異常症、特に高いLDLコレステロール血症の患者については、発症予防の観点からのみならず、重症化予防の目的からも、飽和脂肪酸摂取量の低減が求められます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕