「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中からn–6系脂肪酸の「基本的事項」「欠乏の回避」を紹介します。
〔基本的事項〕
n–6系脂肪酸には、リノール酸(18:2n–6)、γ–リノレン酸(18:3n–6)、アラキドン酸(20:4n–6)などがあり、γ–リノレン酸やアラキドン酸はリノール酸の代謝産物です。
生体内では、リノール酸をアセチルCoAから合成することができないので、経口摂取する必要があります。
日本人で摂取されるn–6系脂肪酸の98%はリノール酸です。γ–リノレン酸やアラキドン酸の単独摂取による人体への影響について調べた研究は少なくなっています。
〔欠乏の回避〕
完全静脈栄養を補給されている者では、n–6系脂肪酸欠乏症が見られ、リノール酸7.4〜8.0g/日あるいは2%エネルギー投与によって、欠乏症が消失します。
したがって、n–6系脂肪酸は必須脂肪酸となっています。リノール酸以外のn–6系脂肪酸も理論的に考えて必須脂肪酸です。
n–6系脂肪酸の必要を計算するために有用な研究は存在していません。したがって、推定平均必要量を算定することができません。
その一方で、日常生活を自由に営んでいる健康な日本人にはn–6系脂肪酸の欠乏が原因と考えられる皮膚疾患などの報告はありません。そこで、現在の日本人のn–6系脂肪酸摂取量の中央値を用いて目安量を算定しました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕