高年齢者の労働災害防止7

4 高年齢者の健康や体力の状況に応じた対応
⑴ 個々の高年齢者の健康や体力の状況を踏まえた措置
健康や体力の状況を踏まえて必要に応じ就業上の措置を講じること。
脳・心臓疾患が起こる確率は加齢にしたがって徐々に増加するとされており、高年齢者については基礎疾患の罹患状況を踏まえ、労働時間の短縮や深夜業の回数の減少、作業の転換等の措置を講じること。

就業上の措置を講じるに当たっては、次に掲げる点を考慮すること。
・健康診断や体力チェック等の結果、当該高年齢者の労働時間や作業内容を見直す必要がある場合は、産業医等の意見を聴いて実施すること。
・業務の軽減等の就業上の措置を実施する場合は、高年齢者に状況を確認して、十分な話合いを通じて当該高年齢者の了解が得られるよう努めること。また、健康管理部門と人事労務管理部門との連携にも留意すること。

⑵ 高年齢者の状況に応じた業務の提供
高年齢者に適切な就労の場を提供するため、職場環境の改善を進めるとともに、職場における一定の働き方のルールを構築するよう努めること。
労働者の健康や体力の状況は加齢にしたがって個人差が拡大するとされており、高年齢者の業務内容の決定に当たっては、個々の健康や体力の状況に応じて、安全と健康の観点を踏まえた適合する業務を高年齢者とマッチングさせるよう努め、継続した業務の提供に配慮すること。

個々の労働者の状況に応じた対応を行う際には、業務内容に応じて、健康や体力の状況のほか、職場環境の改善状況も含め検討することとし、次に掲げる点を考慮すること。
・業種特有の就労環境に起因する労働災害があることや、労働時間の状況や作業内容により、個々の労働者の心身にかかる負荷が異なることに留意すること。
・危険有害業務を伴う労働災害リスクの高い製造業、建設業、運輸業等の労働環境と、第三次産業等の労働環境とでは、必要とされる身体機能等に違いがあることに留意すること。例えば、運輸業等においては、運転適性の確認を重点的に行うこと等が考えられること。
・何らかの疾病を抱えながらも働き続けることを希望する高年齢者の治療と就業の両立については、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)に基づく治療と就業の両立支援指針(令和8年厚生労働省告示第28号)に基づき取り組むよう努めること。
・複数の労働者で業務を分けあう、いわゆるワークシェアリングを行うことにより、高年齢者自身の健康や体力の状況、働き方のニーズに対応することも考えられること。

⑶ 心身両面にわたる健康保持増進措置
3⑵も踏まえ、集団及び個々の高年齢者を対象として、身体機能等の維持向上のための取組を実施することが望ましいこと。
併せて、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」(昭和63年9月1日健康保持増進のための指針公示第1号)及び「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31日健康保持増進のための指針公示第3号)に基づき、事業場における健康保持増進対策の推進体制の確立を図ること、健康診断の結果等に基づき、必要に応じて運動指導や栄養指導、保健指導、メンタルヘルスケアを実施すること、その他労働者の心身両面にわたる健康保持増進措置を実施すること等、事業場として組織的に労働者の心身両面にわたる健康保持増進に取り組むよう努めること。
〔セカンドステージ連盟 小林正人〕