日々修行242 コンサルタントの危機管理

「困ったときに頼りにする人」というと、企業などの相談役から占い師まで、さまざまな専門家が存在していますが、責任を持って支援をしてくれる人となると、これまではコンサルタントが重視されてきました。

“これまでは”と書いたのは、コンサルタントへの信頼が揺らいでいる時代になっていると感じているからです。私への期待や依頼も70歳が近づくにつれて、だんだんとコンサルタントになってきて、70歳に達してからはコンサルタントだけでは足りなくなっているとも感じています。

どんな時代になっていて、何が求められているのかを考える前に、コンサルタントの定義について触れておくことにします。

コンサルタントは、クライアントの課題を解決するために、助言や指導を行う専門家のことで、クライアント企業の経営課題を明らかにして、課題解決のための戦略を立案・提言して企業の成長や業績改善を支援する仕事です。

その専門家は経営コンサルタントと呼ばれていますが、こう考えると経営コンサルタントも生き抜くのが難しい時代になっています。

その証明の一つとされるのは、コンサルタント先の企業を倒産させないことが仕事の経営コンサルタントの倒産です。2024年度の経営コンサルタント業の倒産が150件を超えて、前年比で3.4%も増えて、2005年の集計開始以降で過去最多を更新しました。

経営コンサルタントは“経営のプロ”と認識されています(いました?)が、事業再生や経営統合、M&A、DX(デジタルトランスフォーメーション)支援など、専門領域の分散化と顧客ニーズの高度化によって、コンサルタントは差別化と専門性が強く求められるようになっています。

これまで経験と知識があれば、他の人よりも優れていたと評価されたことも、今では資料集めも情報の整理もAI(人工頭脳)に簡単に取って代わられるようになりました。AIと並ぶようなレベル(過去の経験則)では対応ができなくなり、そのうちAIを超えるようなレベルでも生き残れなくなるような時代となっています。

コンサルタントは小規模や1人でも、開業資金が少なくてもスタートできる職種で、参入障壁も低くなっています。税理士や司法書士なども、下請け仕事のようなことではなくて、積極的な経営への提案をコンサルタントとして手掛けるようになっています。

専門業界のコンサルタントであっても人脈が途切れるようなことがあったり、継続的な取引が突然なくなるリスクもあり、危機管理が必要な状況は足元が脆弱な中小企業と同様です。

それだけにコンサルタントとしての危機管理が重要であり、知識と経験、人脈、人柄だけでなく、求められていることを的確に把握して、コンサルタント先の専門性を学ぶことが重要と考えています。

そのために必要なことについては、次回(日々修行243)に続きます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕