食事摂取基準29 目的に応じた活用上の留意点

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、目的に応じた活用上の留意点を説明しています。

◎個人と集団における食事摂取基準活用の相違点
個人のエネルギー・栄養素摂取量を食事摂取基準の指標と比較する際にわかることは、その個人におけるエネルギー・栄養素摂取量が不足または過剰である可能性の有無、あるいは確率の高低です。

集団において食事摂取基準を使用する場合は、当該集団においてエネルギー・栄養素摂取量が不足または過剰である者が存在する可能性の有無、あるいはその割合の大小となります。

いずれの場合も指標に合致する摂取状況であるのが好ましいのは同じですが、食事摂取基準の活用が個人であるか集団であるかによって、摂取量と食事摂取基準の指標との比較の方法および比較によってわかることが異なることには注意が必要です。

そこで、以下の活用上の留意点は個人を対象とした場合と集団を対象とした場合を分けて記述します。

◎個人の食事改善を目的とした活用
〔基本的概念〕
個人の食事改善を目的とした食事摂取基準の活用については、摂取量推定を行い、食事摂取基準と比較して個人の摂取量から摂取不足や過剰摂取の可能性などを検討します。

その結果に基づいて、摂取不足や過剰摂取を防ぎ、生活習慣病などの発症予防のための適切なエネルギーや栄養素の摂取量について目標とする値を提案し、食事改善の計画および実施につなげます。

また、目標とするBMIや栄養素摂取量に近づけるためには、料理・食物の量やバランス、身体活動量の増加に関する具体的な情報の提供、効果的なツールの開発など、個人の食事改善を実現するための栄養教育の企画や実施、検証も併せて行うこととなります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕