書き間違いをしやすい用語として異字同訓があげられます。
異字は漢字の形が異なること、同訓は漢字の訓読みが同じことで、「異字同訓」は漢字の形は異なるものの、訓読みが同じ用語ということになります。
辞書を引くと(今どきはネット検索でも)、同じ訓読みの用語が複数出てくるのですが、異なる漢字と意味が一致していて、明らかに意味が違っていればわかりやすいものの、一つの意味で複数の漢字が使われていると、どちらを選択すればよいのかがわからなくなってしまいます。
「やわらかい」という訓読みは、どのようなものかイメージが湧きやすいとしても、「柔らかい」と「軟らかい」の、どちらが合っているのか、どちらが相応しいのかの判断がつかないことも少なくありません。
新聞社や出版社では、意味によって的確に使い分けているところが多く、書き分けや文字変換がしやすくなっています。とはいっても、多少の違和感があっても、著者の癖を修正することなく使うということもあります。
パソコンやスマなどに使われている変換ソフトによっては、優先されて表示される訓読みに対して表示される文字(異字)の順番が違っています。使用頻度が多い漢字が先に表示されることもあって、適した文字が先に表示されるわけではありません。
この文字の使い分けができるかどうかが執筆者の腕であり、間違いがない表現ができる人ということになります。
学習の場では、使い分けが的確にできるようにすることが大切なポイントであり、どのような文字(異字)が使われるのかを知っておくことが重要となります。
それを身につけることを目的として、この連載を始めることにしました。
〔セカンドステージ連盟 理事長:小林正人〕