学びの伴歩16 学習障害改善への取り組み

発達障害の名称は病名にも法律(発達障害者支援法)にも使われており、心身機能障害であるかのように勘違いされることがあります。

しかし、神経の発達が遅れがちであるために得手・不得手の凸凹(でこぼこ)が環境や周囲の人との関わりのミスマッチを招いています。そして、対人関係やコミュニケーション、行動や感情のコントロールがうまくできずに、社会生活に困難が生じやすい状態を指しています。

これを神経発達のズレであるとの認識を持って、不得意なことをカバーする(凹を埋める)と同時に、それ以上に得意なこと高める(凸を伸ばす)ことに力を注いでいく活動に取り組む必要があると考えています。

発達障害は自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の3種類に大きくタイプ分けされています。

ASDは一つのことに集中する能力は優れているものの、大きく全般を捉えることが苦手で、このことが学習面の遅れを生じさせる要因とされています。ADHDは集中して学ぶことが苦手です。

LDは読む・書く・計算するといった基本的な発達に問題があります。発達障害はスケジュールに従って進められていく通常の学校教育では追いていかれる可能性が高く、それを補うことは家庭だけでは難しくなっています。

発達障害による学習困難の改善には外部での追加教育だけでなく、学習の基盤となる運動・神経機能、学習のために最低限必要とされる学業技術が重要となります。

発達障害児は極端な偏食が目立ち、自律神経の乱れから1日の生活リズムを整えるという成長のための基本的な条件がかなえられていない現状があります。

発達障害児の教育支援には脳と身体の発達の基本となる栄養摂取と自律神経の調整について、家族や地域とともに考え、実践していくことも強く求められています。

これまでの発達障害児支援は、発達の凹凸の凹を埋めることが優先されてきたところがありますが、優れた才能の凸を引き出し、引き上げる教育も重要となります。

少子・超高齢社会の我が国では、子どもたちは社会を支える貴重な人材であり、発達障害がある人も社会を支える立場での活躍が強く望まれています。
〔セカンドステージ連盟 理事長:小林正人〕