学びの伴歩17 早期発見・早期改善の責務

発達障害の早期発見のシステムが確立している海外では、早期支援が充実していることもあって、発達障害の実態が的確に把握されています。

我が国も2019年10月から始まった3〜5歳の障害がある子どもの児童発達支援の無償化と、これをきっかけとした発達障害の支援体制の拡大によって多くの対象者が発見されるものとみられています。

発達障害は脳機能の発達の偏りやズレがあるだけであり、障害者であるように勘違いされがちですが、それは誤った認識といえます。

しかし、発達障害は成人になっても治るものではなく、社会での関わりが強まる中で対応力がつくために現れにくくなっているだけであり、発達障害の特性は生涯にわたって続いていきます。

早期発見ができなかったために、大人になってから発達障害の特性が現れる例も少なくありません。そのため、早期に発見することが重要であり、発達障害者支援法には地方公共団体の責務として、早期発見と早期支援が明記されています。

ところが、早期発見への取り組みは不十分であり、それに加えて、発達障害が広く社会に理解されていないことから親が受診をさせず、隠すことも起こっています。このような支援の遅れは、発達障害の状態を悪化させることはあっても、改善にはつながっていないのが実態です。

2013年に小児科学・児童精神科学の分野において発達障害の診断基準が変更されました。自閉症に限らず、発達障害をスペクトラム(症状の程度に強弱のある連続体)と考え、これまで障害とみなされなかった軽症例も診断されるようになりました。

軽症例であっても生活上の困難があり、適切に支援しなければ二次障害をきたす恐れがあるために支援対象とすべきとの観点もあって支援対象者が拡がったという事実があります。しかし、これは見かけ上の増加ともいえます。
〔セカンドステージ連盟 理事長:小林正人〕