腸の健康づくり7 便秘のメカニズム

便秘の認識は人によって、さまざまです。毎日便通がある人は、1日でも出ない日があると強い不快を感じて、これを便秘だと認識しがちです。欧米人のように出ない日が週に2~3日もあるのが便秘と考える人もいます。また、出ない日があっても不調がなければ便秘としないという専門家もいて、判断しにくさに拍車をかけています。

医学的には、食べ物を食べてから便が排出されるには24~72時間かかるので、このことから3日以上、便が出ないときに便秘としています。これは平均して週に7回の便通がある日本人の場合で、週に5回の便通が普通である欧米人とは異なる基準です。

このほかに、排便回数が少ないだけでなく、便がとても固くなり、腹痛や排便するときに苦痛を感じる状態を指していることもあります。

便秘には十二指腸潰瘍や腸閉塞といった病気によって起こる急性便秘と、特に病気がないのに起こる慢性便秘とがあります。

一般に多い慢性便秘には、弛緩性便秘と痙れん性便秘とがあります。弛緩性便秘は大腸の緊張が低下したり、大腸を運動させる力、特に腹筋の筋力が落ちているために排便機能が低下するもので、日本人の慢性便秘の70%ほどは弛緩性便秘だといいます。

弛緩性便秘は便量を増やして、腸への刺激を高めることで改善していくことができます。そのために役立つのは食物繊維です。牛乳には消化されにくい乳糖が含まれていますが、日本人は成人になると乳糖分解酵素が減っていく人が多く、それが軟便や下痢につながっています。このデメリットを利用して、便を軟らかくするのに役立ちます。

痙れん性便秘はストレスや過労などで神経障害を起こし、そのために大腸が痙れんして便通が阻害されることで起こります。痙れん性便秘は腸に対する刺激が強くなると、かえって症状が悪化するので、食物繊維の多い食品や冷たい牛乳は避けなければいけません。

アルコール飲料やカフェイン、炭酸類は弛緩性便秘の場合には普通に摂っても特に問題ありませんが、痙れん性便秘の場合には禁止されます。

このように便秘は、起こっている症状は同じようでも、その理由は異なっています。その理由によって対処法も異なってきます。
慢性便秘の原因は、主に5種類に分けられています。

仕事や家庭、旅行などの環境の変化による精神的な影響、ダイエットを始めて急に食事量や水分が減ったなど一過性の原因による単純性便秘。

腸閉塞、大腸がんや大腸ポリープ、肝臓、膵臓の炎症など病気が原因で起こる症候性便秘。この便秘は、薬の副作用によって起こる場合もあります。その他には、慢性の常習便秘といわれる便秘があります。

ここでは病気でない常習便秘の解消法について説明していきます。

紹介されたことを実践しても便秘がよくならない場合には、病気が原因となっていることも考えられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕